2002.11.1 [Fri]
紛失
急激に寒い。いったいどういうことだ。
そのためか、電車に乗ればほのかな樟脳のにおいが漂ってくる。暗所に眠っていた冬物上着が、しばらくの休息の後に日の目を見た証の香り。電車が揺れ、それに揺られる乗客が揺れて漂う香りは樟脳。むーん。
財布をなくす。初めてにして最悪の事態。結構な現金とキャッシュカードと運転免許証が入っていた。思わず落ち込む。天国のママンが口を酸っぱくしてよく言っていたものだった。「財布の中に免許証を入れておいてはイケナイよ。現金だけ抜かれて財布はポイと捨てられちゃうんだよ。もし免許だけなら拾われて戻ってくることが多いからね。免許と財布は別々にしておくんだよー。よー。よーよー（コダマ）」と。その台詞をママンは涅槃に旅立つまで何度も繰り返していたのだった（うそ。ママンはぴんぴんしてます）。
その禁を破っていたことに加え、いつどこでなくしたかも定かでない。しかしカワイらしく小首をかしげてしばし考えてみるに、U氏とメシを食ったのが財布に触った最後のときだった。そうかあのときかッ！ それはいいのだが、だいたいにしてそれに気づいたのが落としたと思われるときから優に24時間以上経ってからだというのはどういうことだ。しょんぼりと1人暗い部屋で黄昏れる。
A社のU氏から電話があったついでに財布を落としたらしいことを伝えると、親切にも社内などをアチコチあたってくれる。なんていい人なんだアンタは。とむせび泣く。泣かないけど。
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2002.11.2 [Sat]
揺するな
近所の交番に財布の遺失届を出しに行く。
届けを書いているあいだ、おれと向かい合ったオマワリが激しく貧乏揺すりをしていることがヒジョーに気に入らない。おれの記入速度が遅いというのか。財布を落としたごときでオレサマの手を煩わせるなと言いたいのかッ！
きっと他意はないに違いないが、不愉快なのは不愉快だ。
思わず手にしたボールペンをオマワリの濁った眼球に突き刺したい衝動に駆られる。その力の方向はボールペンの筆圧へと変わっていく。ぐりぐり。
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2002.11.5 [Tue]
発見
財布が見つかる。
A社の入っているビルの防災センターというところに電話で問い合わせてみたら、午前中に届いたよ、と不機嫌そうなオヤジが答えた。中身を聞かれ、入っていたモノを伝えると、落としたのがおれだということを認めてくれたらしく、身分証を持って取りに来いと言う。
そんなわけで予定外に信濃町へ。財布を受け取り。
詳しいことは省くが、現金を抜かれて放置されていたらしい。そもそもどこに落ちていたかは不明。現金以外の中身は無事のようだ。キャッシュカードを使うのってリスク高そうだし。というかこの財布に入っていたキャッシュカードの口座は動いていないものなのでほぼ空っぽなんだけど。財布に現金が入っていたから、それを抜いたほうが効率がよかったんだろう。あとはヨドバシのポイントとかが使われてないといいなあ。という程度。免許でナニかされた形跡もない。クレジットカードも入れてなかったし。
現金ないですねアハハハハと力無く語るおれに対し、防災センターのオヤジは電話のときとはうって変わって優しく盗難届を出すか？ などと聞いてくれた。しかしおれが自分で財布を落としたわけで、決して盗まれたわけではないし。交番に行って面倒な手続きを踏んで現金が戻るとも思えなかったのでとりあえずその場はカラになったブツだけ回収して終了。
家に帰ってやっぱりしんみりする。ヒザを抱えてみたりもする。痩せた財布を胸にかき抱く。涙は出ない。
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2002.11.10 [Sun]
ウハウハ
そろそろU氏の仕事をあげねばならないのだがなかなかままならない。さてどうしようか、と思っているうちに日が暮れる。
帰って来たピヨを迎えに行く。帰りしなにコンビニへ。コンビニの婦人誌をちらりとみたピヨがおれを呼ぶ。何かと思えば、某誌の付録である「賢い奥様節約365日」という小冊子。書名はテキトーだがそんな内容の付録なわけだ。
その小冊子の表4、つまり裏表紙をピヨはおれに示す。そこにあったのは「このペンダントを買えば何もしなくても金が貯まってウハウハ」という、商品と表現方法を変えてアチコチに出没する気のいい一般人を騙す通信販売の広告。札束に囲まれてアホヅラした主婦の笑顔がイタイ。まあそのペンダントの効果についてのアリ／ナシは置いておくとしても、なにもこの小冊子のしかも表4に掲載しなくてもいいのではないのか。365日節約しなくてもこのペンダント買えばイイじゃないのかねえと、しみじみそう思ってしまったのだがおれは。
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2002.11.14 [Thu]
村長
久しぶりにパソコンを買う。ノートだ。うふふ。アチコチで評判がよかったり悪かったりするパナソニックのLet's note Light T1なのだ。先週末に買いに行ったらおれが欲しかった無線LANモデルは発売が延びており、ちょっと迷ったけれどその日に予約。それでブツが届いたという連絡があったので、1本原稿をあげた自分へのお祝いとして夕方からそそくさと受け取りに行ったのだった。
新宿がすっかりクリスマス準備を済ませている。ちょっとオドロキ。もうそんな時期なのか。
小田急ハルクの入り口にもツリー。なぜか七夕の短冊のように願い事を書いてツリーにぶら下げる仕様になっている。どういうことだ。と思ってその短冊（？）を見てみる。「ほげほげがほしいです〜」なんて無垢な子供を気取ったメッセージから、「ナントカとずーっと幸せでいられますように」とかそんなメッセージがたくさん。でもやっぱりツリーに願い事というのがどうにもおかしいように思う。それにしても究極のメッセージは「これ以上村長が増えませんように」。っていったいなんなんだ。
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2002.11.21 [Thu]
できるじゃ
せっかく手に入れたPCは初期設定をしたりいらないアプリを削除したりする程度しか触れない。
というのも締め切りというかデッドラインが近づいている原稿を抱えているためだったりする。マズイマズイマズイ。と呪文のように繰り返しながら原稿を書く。書くのだ。
……予定よりも激しく時間がかかってようやく完成。何気なく2徹しているのはなぜだ。もはや何曜日かもわからない。
再校まで見終わってホッと一息。しつつももう1本。久しぶりにハダカマシンを組んでみたりベンチマークテストしてみたり。数時間で仕上がる。なんだやればできるじゃないか。
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2002.11.26 [Tue]
メコンウイスキー
さて。
また追いつめられはじめている。それでも今日はFF XIオフ会。いやもうぜんぜんFFやってないんだけどね。ヴァナ・ディールはかくも遠くになりにけり。といったところ。しかしオフ会は参加。A社に寄ってアチコチ打ち合わせしたあとで四谷三丁目へ。先輩E氏が四谷三丁目を「ヨツサン」と略するのはキモチワルイがそれはまたそれ。
当初は某高級焼き肉屋への参戦を予定していたのだったが、店の前で皆のフトコロ具合を確認しているうちに目標はそこそこ焼き肉屋へと変更。しかしそのそこそこ焼き肉屋でも店頭メニューを見てしばし考えるに、どうやら腹一杯食うのはムツカシイ、ということに。なんてヘタレなんだおれたちは。これが30前後の男子の姿なのかッ！ んで3軒目、激安焼き肉屋へ。とおれたちを案内しようとする店員はニコヤカに「5名さまでしたらカウンターになります！」と。なぜ横並びで5人のヤローどもが焼き肉をつままねばならぬのだ。というワケでそこも断念。
結局落ち着いたのはタイ料理屋。客のいなさっぷりにびくびくしながらも入店。適度に飲み食い。しかしすべてが辛い。根本的に辛いのが苦手なおれにはキツかった。仕方ないのでアチコチつまみ食いして先輩Eが頼んだメコンウイスキーをロックで飲むのだった。ガブリンコ。酔っぱらいつつ帰宅。
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